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2006年 04月 03日
この写真を撮っているとき、私は泣いていたといったら、みんなは信じるだろうか。 少しぼけかかっているその構図が、後から見たときに、涙で滲んでるようだと思ったものだ。 その日は一日中曇空だった。 天気によってこれほど自分の気分が左右されるなんて、想像以上だった。 何もする事がなかったカッパドキア初日。 その日がカッパドキアにいた中で一番の晴天だった。前日に出会った日本人の女の子と行動を共にしていたせいなのか、何もしなくてもただ散歩してるだけで気持ちよかった。風が気持ちよくて、空は青くて、透き通るような夕日も見れた。 ここはリゾートみたいだ、と思った。イスタンブールにいたときみたいに、何かを必死で求めちゃいけないのかもしれない。ゆっくりとお茶を飲み、土産物屋の店員との会話を楽しみ、風を感じる。それでいいのかもしれない、と思っていた。 けれどもそれが一転して、一面びっしりと白い雲で覆われると、カッパドキアへの感じ方も変わった。ここはただひたすら何もない、と思った。何もする事がない。どこにいっても寒い。そして孤独だ。それまで1泊を一緒に過ごした女の子とは、自らの意思で行動を別にしていたのだ。 私は前日のツアーで知り合ったトルコ人の好意で、その人と二人で2時間のトレッキングを終えていた。 けれども、曇り空のトレッキングは、疲れるだけで楽しいものじゃなかった。しかもそのトルコ人がいい人なのかどうかさえまだ確信がなかったのだから、プライベートツアーに連れて行ってくれると言われても、どこかに疑心が私の中にあった。 それから会話は終始英語。なんだか、いろいろ神経を使うのに疲れてしまったのだ。 私の心は鬱々としていた。不安と孤独でつぶされそうだった。私の旅はこんなのでいいのだろうか?という疑問も抱いていた。 だから私は、その日の夜にカッパドキアを去ることに決めた。 その知り合いがバスの手配も手伝ってくれる時に「もう一泊いたらどうか?」と言ってくれたけれども、私はもうここにはいる必要がないと思ったので、はっきりとNOと言った。 バスの出発時間は、深夜の0時だった。遅すぎる・・・と思った。まだ8時間はあるじゃないか。ここで8時間も何をしろというのだ??私はもう今すぐにでも旅立ちたかったのに。 仕方ないので私は招かれるままに、仕事はジョッキーだ、という人の話相手になりながら、レストランのテラスでチャイを飲んでいた。 ・・・と、その時である。 一面真っ白な雲で覆われていたはずの空が、西の方からオレンジ色に染まりだしたのである。「サンセットだ!!!!」と私は思った。今日、こんな天気の日に見れるなんて思わなかった。しかもそれは、見る見る間に赤く染まっていき、濃い色味を増していった。 これは撮りにいくしかないと思った。私はジョッキーにつたない英語で「写真撮ってくる!」とだけいって、駆け足でその場を去った。ジョッキーはただ笑顔で頷いた。 私はとにかく走り続け、上を目指した。 上へ、上へ、もっと高いところへ。あの夕日が一番良く見えるところへ。 どんな坂道でも、そう、道さえなくても、私は白い土の壁を這いずるようにして上り続けた。 人の家かもしれない。危険エリアかもしれない。行き止まりかもしれない。 それでも何でもよかった。とにかく私は一番高いところを目指したんだ。 そして、、、、そこには、この街の頂上があった。 広く平らなその場所は、きっと晴れた日の夕暮れには沢山の人が夕日スポットとして訪れているのだろう。でも今日は、当然誰もいなかった。こんな場所があるなんて全く知らなかった。 冷たく強い風が吹き付けてくる。さっきよりも沈んでしまった夕日に向かい、私は1秒さえ惜しむように、とにかくシャッターを押し続けた。 曇り空の中に奇跡のように現われたその赤い夕日は、快晴の日に見たどの夕日よりも 色濃く、美しかった。 それは、なんだか今日の私と重なって見えた。 この不安と孤独があるからこそ、一層美しく輝く何かに出会えるのだと、そう教えられているようだった。 私は涙が止まらず、そこにしゃがみ込みながら、声を出して泣いた。 そして、シャッターを何度も何度も押し続けた。 そこからは、私が悩みを抱えながら過ごしていたこの街の、全てが見渡せた。 答えが見えたような、全てが見えたような、そんな気持ちになった。 私の涙は孤独の涙だったのだろうか? いいや、私は何かに感動していたのだ。 その夕日は、確かに何かを私に伝えてくれたのだ。 今でも私の記憶に、鮮明に残っている。
by mmamiki
| 2006-04-03 13:01
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